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近松門左衛門の真実 ── 近松洋男 著

近松門左衛門の真実 ── 近松洋男 著

当財団の近松洋男理事(元天理大学教授)は、近松門左衛門から9代目にあたる子孫ですが、最近著した「近松門左衛門の真実」のなかで、江戸時代を生きた近松家の謎解きと徳川幕府と公界(くがい)に生きる人々の葛藤をみごとに解説しています。

公界(くがい)とは、士農工商のどの身分にも属さない天皇を中心とした自由社会の事です。職業的には、今で言うインテリ層で、医者、学者、著作業、宗教人、芸術家、芸能人、回船業者等です。これらの人々はどの藩にも属さず、往来自由であり、専門的知識でどこででも生きていけます。当時、幕府は天皇家の権威を利用しながらも、その勢力を押さえ込もうとしていました。それに対抗して皇室財政的基盤を支えたのが赤穂藩の製塩事業だったとの事です。近松門左衛門はもともと御所侍として、多方面にわたる知識を駆使して塩のネットワークを完成させました。なんと彼は当時としては御禁制の塩貿易ルート開発構想まであったようで、スペイン語の知識もあったとの事。

そうした近松門左衛門の公界往来(くがいおうらい)の思想は、ある事件で無残にも踏みにじられました。「忠臣蔵」で有名な赤穂藩取り潰しの幕府による弾圧です。あれは只の刃傷事件ではなく、赤穂の製塩技術を幕府方(吉良上野介が中心人物)が奪いとり、専売制を確立しようとした事を暴露しようとした事件。そのもみ消しに躍起になる幕府と再度、真実を伝えようとする赤穂浪士(近松家赤穂浪士四十七士の内、2名は近松家)。そのような歴史の舞台裏が生き生きと描かれています。

近松門左衛門

赤穂事件に前後して、近松門左衛門は、文学的、学問的素養に恵まれ、劇作家としての道を歩みましたが、彼の作品はそのスペイン語の知識を生かして、スペイン詩劇の形式をふまえているとの事です。赤穂事件も題材にして、登場人物や背景を他に置き換えながら、庶民に真実を伝えようとしました。幕府弾圧をかわしながら、公界往来人としてのプライドを示したのでしょう。

その後、近松家は京都幕末にいたって、尊王攘夷の志士と新撰組にまつわる事件にもかかわり江戸時代の歴史舞台背景を彩りました。

9代目だから明かせる近松家の真実とは?詳しくは、中央公論新社版「口伝解禁・近松門左衛門の真実」定価2200円(税別)をご覧下さい。


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