ニューロング  

第6話
海外便り 2003年12月 メニューへ
「大人版アンデルセン童話」 デンマーク聖教育事情

 アンデルセン童話に「マッチ売りの少女」がある。凍える夜、身寄りのない少女は、売り物のマッチを全部使い果たして、寂しく死んでいく。一見残酷物語に思えるが、子供達にとって、この物語は家の中の暖かさ、家族とのぬくもりのありがたさを感じる筈だ。アンデルセン童話は逆説的に家族の持つ意味を教えている。また「人魚姫」も同様だ。この物語のテーマ恋愛のはかなさ。しかし、ただの悲恋物語ではなく、要するに家族への愛と恋愛の板ばさみ状態で悲しい結末になるが、逆説的に困難に打ち勝つ勇気を持つことを教えている。恋愛も次の家族を持つための通過点なのかもしれない。恋愛、それ自体は、夢、幻、はたまたバブルか?

 アンデルセン童話でわかるように、デンマーク人は実に子供を大事にする。ブロックおもちゃのレゴもデンマークで生まれた。あんな単純なおもちゃなのに、何十年も廃れる事はない。大人でも楽しめて奥が深い。長い冬、家のなかで、アート(ここでは、レゴ・アーチストも存在する)に耽るのも良いかもしれない。日本中のおとうさん!日本の子供たちをハイテクおもちゃから解放して、おもちゃの原点へ返れ。子供といっしょにアートすることで、次の産業国家も生まれてくる。

 さて、日本経済は、大量生産、大量消費に毒されて原点を見失ったが為に失速してしまった。今考えて見れば、日本のかわりになるような国はアジアにいくらでもあったのだ。なんでもコピーして安くつくれば良いだろう等と驕っているうちにライバルに足元をすくわれてしまった。ところがデンマークは欧州の大国に挟まれており、独特な製品でも開発しなければ、生きていけなかった。機械業界でも、じつにユニークで実用に優れた製品を出している。販売方法もスマートで、主要部分を外国から輸入して、OEMで第3国に輸出しており、最終製品の仕様や販売先を一切秘密にしているので、いっさいマネされる事はない。レゴのように単純なものでも組み合わせ次第では、絶対にお客から飽きられないニーズをもっていることを彼らは知っている。同じおもちゃで子供と何十年も遊んでいるからこそ出来る発想だ。

 
人魚姫像もクリスマス衣装
人魚姫像もクリスマス衣装

 そんなデンマークの会社を訪問した時、彼らの生活態度に大変感動した。デンマークの会社は、客を接待するのに会社内のキャンティーン(食堂)を使用する。インテリアは明るく何故か居心地が良い。わざわざ外へ行かなくとも、商談の合間にスカンジナビア風オープンサンドとツボルグ(ビール)でリフレッシュして、また商談を続ければ良い。実に家族的で短い時間で相手と親密になれる。

 デンマーク人の職場に対しての愛着には心打たれるが、クリスマスとは、家族や仕事仲間が互いに理解を深める時間であって、お祭り騒ぎや、男女の出会いの場でもない。聖夜、職場で独りで仕事をしていると早く家族のもとへ帰れと非難される。独り駐在員にはそれが堪らなく辛かった。仕事を残して帰国などできる筈もない。

 日本のおとうさん達よ!繰り返し言う。クリスマスぐらいは、早く家へ帰れ。帰って子供と遊び、次の産業国家を作るのだ。





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